教科担任制の導入はどうなる

徳島新聞の社説に少額5,6年生の教科担任制導入が取り上げられていました。皆さんはどう受け止めましたか?
 これからの小中学校や高校の教育の在り方を中教審が文部科学相に答申した。小学5、6年に「教科担任制」を2022年度をめどに本格導入するのが、大きな柱である。学級担任の教員がほとんどの教科の授業を担ってきた教室の風景が一変しそうだ。

 実験や観察を伴う理科、学習につまずく児童が多い算数、本年度から教科になった英語の3教科が対象に想定される。

 メリットは多い。教員は得意な教科を複数の学級で教えることになり、授業の質が高まることが期待できる。先行して取り組む学校では、児童から「分かりやすい」との声も聞かれるという。学習意欲を高める改革にしたい。学級担任の教員の負担も軽減される。時間的な余裕ができ、児童の提出物をチェックしたり、次の授業の準備をしたりできる。難易度が上がる中学校の授業へのスムーズな接続となり、環境変化に悩む「中1ギャップ」解消の効果も期待できる。

 課題もある。教科担任制の成否の鍵を握るのは十分な教員数と人材の確保だ。それぞれの専門知識を持った教員をうまく組み合わせられないと、授業分担ができない。時間割を組む上で教員数に余裕が必要だ。小規模校での実施は難しいということだ。学校間で教育格差が生じかねない。地域の小中学校が人材を共有するなど、対応に工夫が求められる。

 学級数に応じて配分される「基礎定数」と別に、さまざまな目的に応じて配分されている「加配定数」の教員の活用が有効だろう。加配教員の増員と国の支援が欠かせない。気掛かりなのが、来年度から段階的に導入される35人学級のあおりを受けないか、という点である。都市部で基礎定数の教員を増やす必要が生じ、その人件費を生み出すため、国に先んじて35人学級を導入していた地方の加配教員が減らされるのではないか。そんな懸念の声が徳島県内の学校現場でも聞かれる。杞憂(きゆう)と言い切れようか。県教委は、加配教員がいることで多忙な学校現場が回っている実態と、教員削減は教科担任制の導入に逆行することを、文科省に強く訴える必要がある。

 人材の確保も難題だ。19年度実施の小学校教員の採用試験で、競争率の全国平均が2・7倍と過去最低になった。徳島は3・6倍とやや上がったが、低落傾向に変わりはない。多忙で過酷な教職を学生が敬遠する傾向が止まらない。教育力はもちろん、教職の魅力を高めるためにも、さらなる少人数学級の実現を重ねて求めたい。(徳島新聞社説 2月24日)